暑い日が続く。
昔旅した時暑かった思い出は酷暑期の8月にアフガンからパキスタンに
向かった時だ。
アフガン西部の古都ヘラートからカンダハールまで長距離バスに乗った。
席は満席だが長距離の為か立っている客はいない。
所謂アジアンハイウエイの一部なのだがひたすら酷暑の砂漠の中をひた走る。
熱風を避ける為にエアコンの無いバスの窓を全部締め切っている。
蒸し風呂状態の中皆静かにひたすら耐えている。
すると砂漠の向こうに緑豊かなオアシスが見えた。
あんな所にオアシスが有るのかと訝っていたら地面との接点が微妙に揺らいでいる。
蜃気楼だった。
暫くすると誰が差し入れたのかハッシシが乗客の間に回っている。
運転席の横の通路には氷が入ったバケツが置かれている。
運転手の後ろに座った客はヒシャクで時々バケツに入った氷水を運転手の頭の
上から掛けている。
途中小川で休憩した時乗客の数人は服を着たままざぶんと小川に飛び込んだ。
そのまま濡れた服のまま機内へ。
驚いた事に忽ち乾いてしまう。
外の景色は変わらないが時に銃を背負ったアフガン人が馬に乗っているのが見える。
精悍で気位の高いアフガン人の魅力的な男たちだ。
砂漠のど真ん中でバスが急ブレーキを掛けて止まった。
バスが故障したのかなと思ったら乗客が外人の僕一人を除いて皆降りていく。
そして皆一斉にお祈りを始めた。
1日に5回行うお祈りの儀式だった。
終わると又ぞろぞろと乗車し何事も無かった様にバスは又猛スピードで走りだした。